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遺言書があっても相続放棄はできるのか?進め方と期限について

「遺言書に自分の名前があったら絶対に相続しなければならない?」「相続放棄はいつまで認められる?」など不安や疑問を抱く方は少なくありません。
しかし、遺言書で遺産を受け取る人として指定されていても、期限内に適切な手続を行うことで、相続放棄が認められる可能性があります。
本記事では、遺言書があっても相続放棄できるのかをお伝えしたうえで、進め方と期限を紹介します。

 

 

そもそも相続が発生した際、相続人は次のいずれかの選択をすることになります。

  • 単純承認:相続人が被相続人の権利や義務を引き継ぐこと
  • 相続放棄:相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がないこと
  • 限定承認:被相続人の債務状況が不明で、財産が残る可能性がある場合などに、相続で得た財産の限度で債務を引き継ぐこと

ここでいう権利とは預貯金や不動産、義務とは借金などを指します。
相続放棄とは、相続が発生した際の選択肢のひとつであり、被相続人に巨額の負債があるケースや相続に関わりたくないケースにおいて選ばれることがあります。

 

遺言書があっても相続放棄できる?

結論からお伝えすると、遺言書があっても相続放棄はできます。
これは相続人の権利であり、遺言書に特定の人物に遺産を受け渡すという旨の記載があったとしても、相続人自身が望まない場合は拒否することが可能です。
相続放棄の手続を行うと、原則として被相続人の預貯金や不動産などの財産だけでなく、借金や借入れなどの負債を返済する義務も受け継がない扱いとなります。

 

相続放棄の進め方

相続放棄は、単に意思表明をするだけでは認められず、適切な手続を踏む必要があります。
ここでは、相続放棄の進め方を順番に説明します。

 

遺言書の有無を確認

まず確認すべきことは、遺言書の有無です。
遺言書がある場合、原則その内容に従って遺産の承継方法を検討することになります。
遺産を受け取ってほしいという遺言が残っていたとしても、該当者がそれを望まないのであれば相続放棄を選ぶこともできます。
たとえば、負債が大きい場合や相続に関わりたくない場合など事情があれば、早めに相続放棄を検討しましょう。

 

被相続人の財産調査

遺言書の有無を確認したら、被相続人の財産や負債、権利義務の状況を調査します。

 

財産 ●       現金

●       預貯金

●       有価証券

●       投資信託

●       車

●       不動産

●       積立金

●       動産(宝石類、時計、骨董品など)

負債 ●       借入金(住宅ローンなど)

●       リース料

●       未払いの家賃、税金、損害賠償債務など

権利義務 ●       賃貸借契約の貸付人

●       賃貸借契約の貸借人

●       損害賠償請求権、損害賠償すべき義務

●       貸金の請求権、借入金の返済義務

 

財産や負債だけでなく、契約上の権利や義務なども相続対象になる点に注意が必要です。
一方で、教育費・婚姻費用等の請求権や支払い義務、年金受給権など一身専属的な権利義務は、相続対象にはなりません。
財産や負債、権利義務の判断が難しい場合、早い段階で専門家に相談することで、相続放棄の判断やその後の手続をスムーズに進めやすくなります。

 

必要書類と費用の整理

相続放棄を申述する場合、家庭裁判所に提出する書類と費用を準備します。
申述に必要な書類は、次のとおりです。

  • 相続放棄の申述書
  • 標準的な申立添付書類
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 申述人の戸籍謄本

上記は基本的な書類であり、申述人が被相続人の配偶者か、子どもまたはその代襲者か、直系尊属などの第二順位相続人かによって、追加書類が求められます。
また、申述人1人当たり収入印紙800円、連絡用の郵便切手代がかかります。

 

家庭裁判所への申述

書類と費用を整理したら、被相続人が最後に住んでいた地域を管轄する家庭裁判所宛に相続放棄の申述を行います。
申述先の裁判所は、家庭裁判所ウェブサイトの「申立書提出先一覧(家庭裁判所)」からご確認いただけます。

 

家庭裁判所からの照会に回答

申述内容によっては、家庭裁判所から照会書が送付されることがあります。
照会書には、相続放棄が本人の意思によるものなのか、相続財産を勝手に取得・使用していないか、期限内に申述されているかなどの質問事項が記載されています。
内容をよく読み、事実に即した回答を記載して、できる限り早めに返送するようにしてください。

 

受理通知書の受け取り

家庭裁判所から相続放棄が認められると「相続放棄申述受理通知書」が届きます。
この通知を受け取れば、相続放棄の手続は完了です。
相続放棄申述受理通知書は、法的に相続放棄が認められていることを証明する重要な書類で、債権者や金融機関から提示を求められるケースもあるため、大切に保管してください。

 

相続放棄できる期限

相続放棄できる期限は、原則として自己のために相続の開始があったと知ったときから3か月以内です。
これは民法で定められており、この期間を過ぎると単純承認したとみなされて法的に処理される可能性があるため注意が必要です。

 

まとめ

相続放棄は、遺言書の内容とは関係なく、相続人が選択できる手続です。
ただし、相続放棄を希望するのであれば相続開始を知ったときから3か月以内に必要書類を揃えて家庭裁判所に提出する必要があるので、迅速な対応が求められます。
被相続人の財産や負債状況、相続放棄に関する疑問や不安がございましたら、早い段階で専門家へご相談ください。