2024年から、相続登記が義務となりました。不動産を相続した場合は3年以内の登記申請をしないといけません。
この登記に関する手続きは相続人自身で行っても違法ではないのですが、手続きを誤ることで自宅を失うことにもなりかねません。そこで登記については司法書士に依頼することをご検討ください。
ここでは、特に司法書士に相談することが推奨される6つのケースを紹介していきます。
目次
「相続登記」は、不動産(土地や建物)の所有者が死亡した際に、その名義を相続人へ変更するための重要な手続きです。
具体的には、法務局で管理されている「登記簿謄本(登記事項証明書)」の登記名義人を、相続した親族の名義へと変更する手続きとなります。
これに関連する注目すべき点として、2024年4月1日から相続登記が義務化されています。この法改正により、相続開始および所有権取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しないといけなくなっています。
相続登記は、自分で手続きを行うことも可能ですが、以下のようなケースでは司法書士への相談・依頼をお勧めします。
相続登記を長期間放置していると、権利関係が著しく複雑化する可能性があります。
権利関係を明確にしないまま亡くなると、新たな相続が発生し、関係者がさらに増えてしまいますし、相続人の一部が高齢化して認知症などにより意思確認が困難になるケースもあります。
こうなってくると一般の方で対応するのが難しくなってきますので、登記のプロである司法書士による適切な対応が必要となります。
複数の不動産を相続する場合、それぞれの物件について登記事項証明書など各種書類の取得が必要となります。また、不動産の所在地によって管轄する法務局が異なる場合は、それぞれに対して適切な申請手続きを行わなければなりません。司法書士であればこれらの手続きを的確に管理し、相続登記の漏れを防ぐことができます。
相続人が多数存在する場合、全員の連絡先確認や同意取得に多くの時間と労力を要します。
また、相続人間で意見の相違が生じやすく、遺産分割協議が難航するケースも少なくありません。司法書士は、豊富な経験を活かしてアドバイスを行い、円滑な合意形成をサポートすることができます。
仕事や家事で多忙な方にとって、相続登記の手続きは想像以上に大きな負担となります。戸籍謄本や住民票の取得など、しないといけない作業がたくさんあるのです。
さらに、相続人全員との連絡、遺産分割協議書の作成、法務局への登記申請など、一連の手続きには数ヶ月から場合によっては1年以上かかることもあります。特に、相続人が遠方に住んでいる場合は書類のやり取りや署名・押印の取得にも時間がかかります。
このような場合でも、司法書士に依頼することで必要書類の収集から登記申請まで一貫して対応してもらえます。依頼者に代わって役所や法務局への手続きを行うことで、平日の日中に法務局へ行く必要もなくなるため、仕事や家事に影響を与えることなく手続きを進めることができるでしょう。
不動産の権利関係が複雑なケースでは、専門的な法律知識と豊富な実務経験が必要となります。
例えば、共有名義の不動産の場合、共有者全員の同意を得る必要があり、一部の共有者が既に死亡している場合は、その相続人全員の同意も必要となります。
また、古い建物では、私道の権利関係が不明確なケースも少なくありません。建物の敷地として使用している私道部分の権利関係を確認し、必要に応じて関係者とのやり取りも発生します。さらに、抵当権や地上権などの権利が設定されている場合は、これら権利者との手続きが発生する可能性もあります。
司法書士はこれらの複雑な権利関係を適切に調査・分析し、法的な観点から最適な解決策を提案することができます。
相続手続きは相続登記だけにとどまらず、多岐にわたる手続きが必要となります。まず、相続財産の調査が必要です。不動産だけでなく、預貯金、有価証券、生命保険、自動車、貴金属など、故人が所有していた財産を網羅的に調査する必要があります。
また、遺産分割協議は相続手続きの中でも特に重要で、相続人全員で話し合って誰がどの財産を相続するか決定しなくてはなりません。さらにその際は遺産分割協議書の作成が必要です。義務ではありませんが、相続登記のためであったりその他の手続きのためであったり、さまざまな場面で提示を求められますので作成をしておく必要があるのです。
司法書士は、これらの相続全般に関する手続きを一貫してサポートすることで相続人の負担を軽減。スムーズな相続手続きの実現をサポートします。
相続登記が適切に行われない場合、以下に挙げるようなさまざまなリスクが発生します。
リスクの種類 | 具体的な内容 |
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過料 | 相続登記義務化により、3年以内に登記申請をしないと最大で10万円の過料を科される可能性がある。さらにこの規定は法改正以前の未登記物件にも適用される。 |
不動産の活用に事実上の制限がかかる | 登記名義が被相続人のままだと不動産の売却が困難。不動産を担保にした融資なども受け入れられにくい。 |
今後の相続手続きが難航する | 時間が経つにつれて相続人が増え、手続きが複雑化・長期化するため、今後さらに問題が大きくなってしまう。 |
財産保全上のリスク | 相続人に債務者がいる場合、債権者が代位登記を行い、不動産が差し押さえられる可能性がある。 |
これらのリスクを避けるためにも、相続が発生した際は速やかに相続登記の手続きを進めることが重要です。そして対応が難しいとき、手続きに少しでも不安があるときは司法書士に相談しましょう。